≪宅建試験対策≫連帯債務とは?
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
連帯債務とは?
「連帯債務」とは、数人の債務者が同一内容の債務を各自独立して負担し、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時もしくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求することができる債務関係のことです。
しかし、多数の当事者がいる債権・債務の原則は、「分割債権・分割債務」が原則なので、「連帯債務」は例外です。
連帯債務は原則は相対的に効力を及ぼします。
しかし例外的に7つの事由は絶対的に効力を及ぼします。
連帯債務者には求償権を認めています。
しかし求償できる額は各自の負担部分のみです。
連帯債務は例外
多数の当事者がいる債権・債務の原則は、「分割債権・分割債務」が原則です。
「連帯債務」や「連帯保証」は債権者の利益のために生まれた例外です。
宅建試験では、例外の「連帯債務」「連帯保証」をよく問われます。
分割債権・分割債務の原則
民法427条
数人の債権者または債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う
たとえば、B、C、DはAに対して900万円の債務を負っています。
この場合、債務者のB、C、Dは平等の割合で義務を負うことになるのでAに対して300万円ずつ債務を負うことになります。
債権者Aは、債務者B、C、Dに対して300万円ずつの債権を有していることになります。
この「分割債権・分割債務」が多数当事者の債務関係の原則になります。
連帯債務
原則である分割債権・分割債務では、債権者は1人1人に請求しなければならず、もし債務者の一人が弁済しなければ債権者は負担になってしまいます。
なので「連帯債務」という制度が生まれました。
連帯債務は各々の債務者の間に主従の関係がないので、その点で保証と異なっています。
たとえば、B、C、DはAに対して900万円の債務を負っています。
連帯債務だと、債務者B、C、Dは各自独立して900万円の債務を負担することになります。
なので債権者Aは、連帯債務者B、C、Dのだれに900万円全額を同時に請求してもよく、だれから順次に請求してもよいのです。
連帯債務の効力
連帯債務の効力は2つの事由に分けられます。
- 相対的効力:連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者には影響を及ぼさない
- 絶対的効力(絶対効):一人について生じた事由が他の連帯債務者に影響を及ぼす
連帯債務は原則は相対的に効力を及ぼします。
絶対的効力を及ぼすのは例外で、絶対的効力を及ぼす事由は下記の7つに限られています。
- 弁済
- 更改
- 混同(相続)
- 相殺(1番出題されやすい)
- 免除
- 時効
- 請求
逆に言えば、絶対的効力を及ぼす事由は7つだけでそれ以外はすべて相対的効力を及ぼす事由です。
なので、宅建試験対策としては絶対的効力を及ぼす7つの事由を覚えましょう!
「絶対的効力と相対的効力」について詳しい解説はこちら↓
連帯債務者の破産手続きの開始
民法第441条
連帯債務者の全員または数人が破産手続き開始を受けたときは、債権者はその債権の全額について各破産財団の配当に加入することができる。
たとえば、B、C、DがAに対して900万円の連帯債務を負っています。
その場合、Bが破産手続開始の決定を受けたときは債権者Aは900万円をもってBの破産財団に加入することができ、財団の配当による弁済を受けることがでます。
ここで注意点は、その債権の全額について加入できるという点です。
破産手続き開始の決定を受けた人の負担部分についてではありません。
最重要の論点ではありませんが、この論点は知っていないと解けないので知っていたら役に立つかもしれません。
連帯債務者間の求償権
連帯債務者の一人が弁済した場合、他の連帯保証人に対して求償権を行使することができます。
「求償権」とは、弁済した者が、他人に対しその返還を求める権利のことです。
しかし、連帯債務者の一人が他の連帯債務者に求償できる額は各自の負担部分のみです。
「負担部分」とは、連帯債務の債務者が各自いくら負担するか定めた額のことです。
求償権と負担部分について詳しい解説はこちらです↓