≪宅建試験対策≫弁済者の代位
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
弁済者の代理
弁済は原則として、第三者でもすることができます。
「弁済者の代位」とは、第三者が債務者のために弁済をすると、その第三者は債権者の地位に代位することができるということです。
簡単に言うと、第三者は債務者に対して求償権を行使し、弁済の返還を求めることができます。
弁済者の代位には2つのパターンがあります。
- 法定代位:弁済するについて正当な利益を有する者が弁済した場合
- 任意代位:正当な利益を有しない者が弁済した場合
弁済者の代位とは
「弁済者の代位」とは、第三者が債務者のために弁済をすると、その第三者は債権者の地位に代位することができるということです。
第三者が債務者に代わって債権者に弁済すると、第三者は債権者が債務者に対して有する一切の権利を取得することができます。
第三者の弁済について詳しくはこちらで解説しています。→第三者の弁済
簡単に言うと、第三者は債務者に対して求償権を行使し、弁済の返還を求めることができます。
「求償権」とは、弁済によって債務を消滅させた者が、債務者に対して弁済額の支払いを請求する権利です。
弁済者の代位には2つのパターンがあります。
- 法定代位:弁済するについて正当な利益を有する者が弁済した場合
- 任意代位:正当な利益を有しない者が弁済した場合
弁済者の法定代位
第500条
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。
弁済をすることについて正当な利益を有する第三者が弁済すると、当然に債権者に代位します。
このことを「法定代位」といいます。
正当な利益を有する第三者とは、利害関係を有する第三者と同じなので、具体的には、物上保証人や第三取得者などです。
法定代位の場合は、当然に債権者に代位するので、求償権も当然に行使することができます。
たとえば、BはAに対する1000万円の債権を担保するためにC所有の土地に抵当権を設定しました。
CがBの代わりに1000万円をAに弁済しました。
この場合のCは物上保証人なので正当な利益を有する第三者です。
なので、Bの承諾がなくても代わりに弁済することができます。
そしてCは、当然にBに対して求償権を行使することができます。
CはBに対して当然に「代わりに弁済した1000万円を返して!」と主張することができます。
弁済者の任意代位
第499条
1項 債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。
債務者のために正当な利益を有しない第三者が弁済した場合、その弁済と同時に債権者の承諾を得ることによって、債権者に代位することができます。
これを「任意代位」といいます。
任意代位の場合は、債権者の承諾により代位することができます。
要するに、任意代位の場合に第三者が求償権を行使するには債権者の承諾が必要ということです。
たとえば、AはBに対して1000万円の債権を有しています。
Bの父親CはBの承諾を得て代わりに1000万円を弁済しました。
肉親・友人は、利益を有する第三者には含まれません。
なのでCが弁済するには、Bの承諾が必要です。
そして、Cは債権者Aの承諾がなければ求償権を行使することができません。
要するに利害関係のない第三者は弁済するときには「債務者の承諾」、求償権を行使するときには「債権者の承諾」が必要だということです。
任意代位した弁済者(図のC)は、求償権を有しているということは、原債権(図の1000万円債権)を譲り受けたと同じ意味になります。
なので、債権譲渡と同じように「債権者から債務者への通知」または「債務者からの承諾」がなければ債務者その他の第三者に対抗することは出来ません。
求償権として請求するか、債権として請求するかは弁済者の自由です。
債権譲渡について詳しくはこちらで解説しています。→債権譲渡