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≪宅建試験対策≫指名債権譲渡の対抗要件

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

 

指名債権譲渡の対抗要件

 

宅建で出題される債権譲渡の債権は、指名債権といいます。

 

指名債権とは、債権者が特定しており、債権の発生や行使に書面を必要としないものを言います。

 

 例えば、金融機関の預金や売主が買主に対して有している金銭債権や賃貸人が賃借人に対して有している賃料債権などが、指名債権に当たります。

 

でも宅建ではわざわざ指名債権とは呼びません。

 

宅建では指名債権を債権と呼びます。 

 

債権譲渡」とは、債権を同一性を保ったまま、債権者(譲渡人)が第三者(譲受人)と契約し、債権を譲渡することです。

 

債権譲渡について詳しく知りたい方はこちらの解説を参考にしてください→債権の譲渡・債権譲渡の制限

 

債権譲渡の対抗要件は、譲渡人からの通知」または債務者の承諾」です。

 

通知」は、譲受人が譲渡人に代位して行うことは出来ません。

 

しかし、譲受人が譲渡人の代理として行うことは出来ます。

 

この指名債権譲渡の対抗要件は、債権譲渡の中での1番重要論点ですので詳しく解説していきます。

 

指名債権譲渡の債務者に対する対抗要件

 

債権譲渡の契約は、譲渡人(旧債権者)と譲受人(新債権者)の合意のみで契約が成立し、効力が生じます。

 

しかし、それでは債務者には債権譲渡された事実は伝わらず、だれが債権者なのかがわからず、結果として二重に弁済させられてしまうかもしれません。

 

なので、民法は新債権者となったことを主張する(譲渡を債務者に対抗する)には、下記の2つのどちらかが必要であると定めました。

 

  • 譲渡人から債務者への「通知
  • 債務者の「承諾

 

たとえば、に対して有する債権をに譲渡する契約を結びました。

 

登場人物の立場を整理します。

 

登場人物の整理

:譲渡人、(旧債権者)
:債務者
:譲受人、(新債権者)

 
譲受人C債務者Bに対して「新債権者になったので、自分に債務履行して!」と主張するには、下記の2つのどちらかが必要です。

 

  • 譲渡人A債務者Bに対して、「に債権を渡しました!」と「通知」する
  • 債務者Bに債権が移転したことを了解しました!」と「承諾」する

 

債務者に対する対抗要件

 

この債務者Bが行う「承諾」は、譲渡人Aに行っても、譲受人C(新債権者)に対して行っても有効です。

 

注意点は、「通知又は承諾」で可!ということです。


「通知」と「承諾」どちらも必要なわけではありません。


ここで注意なのが、「通知」は人から債務者へ行われなければなりません。

 

人から債務者に行うことはできません

 

これは譲受人に通知を認めると、嘘をついて債務者から弁済を受けようとする偽の債権者を認めてしまうことになります。

 

 

債権譲渡の通知は譲渡人から

 

少し細かい解説をすると、債務者が行う「承諾」は譲渡する前に行っても後に行っても有効です。

 

譲渡人Aが行う「通知」は「譲受人Cに債権を移転しました」と伝えるものなので、譲渡する後に行います。

 

通知は代位として行うことはできない

 

「通知」は、譲渡によって債権を失う譲渡人から債務者に対して行われるべきです。

 

なので、譲受人は譲渡人に代位して行うことはできません。(判例)

 

代位とは、「他人の権利を行使すること」です。

 

譲渡人A債務者Bへ行う通知は、権利でははないため、譲受人Cが「代位」することはできません。

 

ただし、譲受人が譲渡人の代理人として行うことはできます。(判例)

 

譲渡の通知は代位できない

 

代理とは、「本来行うべき者に代わってその行為を行うこと」です。

 

譲受人C譲渡人A債務者Bに対して行う通知の行為を代理するということなので、譲渡人Cが「代理」をすることは認められています

 

保証人がいる場合

 

たとえば、に対して有する債権を担保するためにと保証契約を結びました。その後、はこの債権をに譲渡する契約を結びました。

 

この場合、譲渡人Aは主たる債務者Bに「通知」すれば、保証人に通知しなくても、保証人に債権譲渡を対抗することができます(判例)

 

保証人がいる債権譲渡

 

そして債権は随伴性があるので、同一性を保ったまま移転します

 

なので、譲渡される債権を担保する保証も当然に移転します。