≪宅建試験対策≫連帯債務の絶対的効力・相対的効力
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
連帯債務の絶対的効力・相対的効力
「連帯債務」とは、数人の債務者が同一の給付を目的とする債務を各自独立して負担し、債権者はその連帯債務者の一人に対し、または同時もしくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求することができる債務関係をいいます。
連帯債務の効力は2つの事由に分けられます。
- 相対的効力:連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者には影響を及ぼさない
- 絶対的効力(絶対効):一人について生じた事由が他の連帯債務者に影響を及ぼす
連帯債務は原則は相対的に効力を及ぼします。
絶対的効力を及ぼすのは例外で、絶対的効力を及ぼす事由は下記の7つに限られています。
- 弁済
- 更改
- 混同(相続)
- 相殺(1番出題されやすい)
- 免除
- 時効
- 請求
逆に言えば、絶対的効力を及ぼす事由は7つだけでそれ以外はすべて相対的効力を及ぼす事由です。
なので、宅建試験対策としては絶対的効力を及ぼす7つの事由を覚えましょう!
原則は相対的効力
連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として、ほかの連帯債務者には影響を及ぼしません。
「承認」の事由で解説します。
たとえば、買主B、C、Dは、売主Aに対して1500万円の連帯債務を負っており、それぞれの負担部分は等しいものとします。
Bが売主Aに対して承認しました。
「承認」は絶対的効力が生じる事由ではないので、連帯債務者の一人のBが売主Aに承認しても、その効力はほかの連帯債務者には及びません。
なので、ほかの連帯債務者CとDの消滅時効は中断しません。
時効の承認と消滅時効についてはこちらで詳しく解説しています→時効の中断事由と効果
「無効」や「取消し」も相対的効力の事由なのでその効力は他の連帯債務者には及びません。
例外である絶対的効力の事由
「絶対的効力」とは、連帯債務者の一人に生じた事由がほかの連帯債務者にもその効果が生じることをいいます。
絶対的効力を及ぼす例外的な事由は下記の7つです。
- 弁済
- 更改
- 混同(相続)
- 相殺(1番出題されやすい)
- 免除
- 時効
- 請求
ひとつずつ具体的に解説します。
わかりやすいように7つの事由の設定を下記に統一します。
買主B、C、Dは、売主Aに対して1500万円の連帯債務を負っており、それぞれの負担部分は等しいものとする
ではひとつずつ解説していきます。
弁済
債務者の一人がが全額返済すると、他の債務者についても債権者に対する債務は消滅します。
上の図のようにBが1500万円全額Aに弁済したら、C、Dについても債務が消滅します。
Bは、C、Dに対して自己負担部分を引いた金額(各500万円ずつ)求償することができます。
更改(こうかい)
「更改」とは、新たに別の債権を成立させ、既存の債権を消滅させることをいいます。
1500万円の債務負担の代わりに、債務者の一人が土地の所有権移転を負担する更改契約をした場合、他の債務者の債務も消滅する。
Bが「B所有の土地を所有権Aに移転をするから、1500万円の債務を消滅する」という契約をAと成立させたため、C、Dについても債務が消滅します。
Bは、C、Dに対して自己負担部分を引いた金額(各500万円ずつ)求償することができます。
更改=代物弁済と考えたらイメージしやすいです。
混同(相続)
債務者が債権者を相続した場合、相続した債務者が弁済したとみなされ、他の債務者の債務も消滅する。
債権者Aが父で、債務者Bが一人息子だったとして、Aが死亡してBが相続した場合です。
Bは、債務と債権を同時に持ったことになり連帯債務は消滅し、C、Dは債務を免れることになります。
しかし、Bは、C、Dに対して自己負担部分を引いた金額(各500万円ずつ)求償することができます。
相殺(そうさい)
連帯債務の絶対効力の中で「相殺」が一番宅建試験に出題されやすいです。
「相殺」とは、双方が互いに同種の債権を有する場合に、一定の条件(相殺敵状)が備わったときは、一方からの意思表示で双方の債権を対当額で消滅させることをいいます。
連帯債務者の一人が債権者に対する反対債権で相殺すると、弁済した場合と同様に他の債務者についての債務は消滅する。
上の図のようにBがAに対して1500万円の債権を有していた場合、BはAに対してBの有する1500万円の債権で連帯債務の1500万円の債務を消滅させることができ、C、Dについても債務が消滅します。
しかし、Bは、C、Dに対して自己負担部分を引いた金額(各500万円ずつ)求償することができます。
もしBがAに対する反対債権を持っているにもかかわらず援用しなければ、他の債務者はBの負担部分500万円についてのみ、Bの反対債権をもって援用することができます。
上の図の場合、BのAに対する反対債権を相殺援用したDはBの負担額の500万円のみ相殺援用することができ、連帯債務の額は1000万円になります。
相殺の援用をして、連帯債務の額がBの負担額分減ったことになります。
Dが残りの1000万円を弁済した際は、債権が消滅します。
そしてDの負担部分を引いた500万円をCに求償することができます。
免除と時効
免除と時効は効力的には同じです。
免除
債権者が一人の債務者の債務を全額免除すると、その債務者の負担部分について他の債務者の債務が消滅する。
上の図のように、AがBの債務を全額免除すると、C,DはBの負担部分について債務を免れるため、連帯債務額が1000万円になります。
時効
一人の債務者についての債務が時効消滅すると、その債務者の負担部分について他の債務者の債務が消滅する。
上の図のように、AのBに対する債務が時効によって消滅した場合、C,DはBの負担部分について債務を免れるため、連帯債務額が1000万円になります。
C,Dだけ承認をしていれば、Bだけ時効消滅することがあり得ます。
ここで注意なのは、時効利益の放棄は絶対的効力ではありません。
たとえばBが時効になって債務を免れるという利益があるにもかかわらず「時効利益を放棄します!」と言ったとしても他の連帯債務者には影響は及びません。
なのでBが時効の利益を放棄しても、他の連帯債務者がBの時効を援用し、Bの負担部分の債務を消滅させることも可能です。
請求
債権者が連帯債務者の一人に履行の請求すると、他の連帯債務者にも履行の請求したことになります。
この場合の請求は、時効中断事由のひとつの請求だと考えてください。
なので、下の図のようにAがBに対して履行の請求(時効中断)をした場合、その効果は他の連帯債務者のC,Dにも影響を及ぼしC,Dの債務も時効中断されます。
連帯債務の効力の問題を解くポイント
連帯債務の絶対効力の7パターン(7つの事由)を解説しました。
しかし、下記の2つだけ覚えておけば簡単に得点することができます。
- 絶対的効力とは、一人について生じた事由が他の連帯債務者に影響を及ぼす
- 絶対的効力の事由の「弁済」「更改」「混同」「相殺」「免除」「時効」「請求」の用語を覚える
なぜなら、宅建の連帯債務の問題は下記のような問題になります。
①債権者Cが、連帯債務者Aに対して代金の支払を請求した場合、その効力は他の連帯債務者であるBにも及ぶ
②債権者Cが、売買契約を解除する意思表示を連帯債務者Aに対してした場合、その効力は他の連帯債務者Bにも及ぶ
①の問題は、「請求した場合」なので絶対効力の事由のひとつで、他の連帯債務者にも効力が及ぶと書いてあるので、正解は「○」です。
②の問題は、「解除」なので絶対効力の事由ではありません。
しかし他の連帯債務者にも効力が及ぶと書いてあるので、正解は「×」です。
上記のように、「絶対効力の事由」+「他の連帯債務者にも効力が及ぶか否か」を見ればすぐに正解がわかります。
絶対効力の事由の7つ事由の用語を覚えておくだけで、簡単に得点に結びつきます。
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