≪宅建試験対策≫共有とは?
「物権」は毎年2問前後出題されています。
物権は民法の中でも、最も難しいと言われています。
本試験合格を考えると、民法では14問中8問は正解しておきたいところです。
必ず出題されている「抵当権」を確実に正解するため、「抵当権」だけに絞って勉強することもありだと思います。
しかし、ほかの項目も絶対正解しておきたい分野の基礎知識になるため確実に合格したい人は学習しておくべきです。
共有とは?
「共有」とは、数人の者がそれぞれ共同で持ち分を有して、ひとつの物を所有している権利形態です。
各共有者の有する権利を「持分権」といいます。
各共有者は持分権に応じて処分(放棄・譲渡・担保権の設定など)をすることができます。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。
共有物の保存行為は、各共有者が単独ですることができます。
共有物の管理行為は、各共有者の持分価格の過半数の賛成で行います。
共有物の変更行為は、共有者全員の同意が必要です。
原則として各共有者はいつでも自由に共有物の分割を請求できるとしています。
しかし、特約によって分割しない旨を定めることができます。
この特約(共有物不分割特約)の期限は5年です。
共有の本試験出題頻度は4~5年に1度程度です。
出題頻度は高くないですが、共有の知識は「区分所有法」で使います。
区分所有法は確実に得点したい項目なので、共有からしっかり解説していきます。
共有
「共有」とは、数人の者がそれぞれ共同で持ち分を有して、ひとつの物を所有している権利形態です。
各共有者の有する所有権の割合を「持分」といいます。
各共有者の有する権利を「持分権」といいます。
たとえば、A・B・C3人が1000万円の甲建物を購入したとします。
Aは600万円
Bは300万円
Cは100万円
各共有者の持分の割合は、共有者の意思表示(合意)にまたは、法律の規定によってきまります。
持分の割合が不明な場合は均等と推測されます。
この甲建物は、A・B・Cの3人のものです。
しかし甲建物について全部の所有権を有しているわけではないので、共有物全部の処分や変更には制限があります。
なので各共有者は持分権に応じて処分(放棄・譲渡・担保権の設定など)をすることができます。
民法255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
もしCが持分権を放棄した際は、Cさんの持分権は他の共有者に帰属します。
しかしもしCが死亡した際のCさんの持分権は相続人に相続します。
相続人がいなければ、特別縁故者のものとなりますが、特別縁故者もいなければ、他の共有者に帰属します。
共有物の利用関係
民法249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。
共有物の全部とは、先ほどの図の甲建物を共有している場合、その建物の全部を持分に応じた割合で使用できるということです。
そうでなければ、たとえば甲建物のうち、Aは6/10だからリビングしか使用できなくて、Bは寝室、Cはトイレを使うとなるとおかしなことになりますよね。
使用方法は共有者間の協議によって決めることができるので、たとえば、
Aが1年のうち7か月使用
Bが1年のうち3か月使用
Cが1年のうち2か月使用
みたいに共有物の全部について持分権に応じてしようすることができます。
ひっかけでよく出てくるのは下記のことです!
たとえば、CがA・Bと協議しないで、甲建物をDに占有使用させました。
この場合、Cは自分の持分権の範囲内でDに占有使用させることができます。
AとBは、Cの持分権の範囲内なので、甲建物を占有使用しているDに当然には明け渡し請求をすることはできません。
もうひとつひっかけ問題として出題される判例を紹介します!
(判例)
共有物に対する不法行為による損害賠償請求権は、他人の持ち分についての請求権は持たず、各共有者が自己の持ち分についてのみ行使する。
たとえば、Dが甲建物に不法行為をして損害が100万円出ました。
この場合、Cが損害賠償請求をしても持分権が1/10なので、100万円の1/10の10万円しか請求できません。
共有物の管理・処分など
共有物の使用は下記の3つに分類されます。
- 保存行為=共有物の現状維持する行為(修繕や不法占拠者への返還請求等)
- 管理行為=共有物を利用・改良する行為(賃貸借、賃貸借契約の解除等)
- 変更行為=共有物を物理的に変化させる行為(増改築・売却等)
保存行為は、各共有者が単独ですることができます。
管理行為は、各共有者の持分価格の過半数の賛成で行います。
変更行為は、共有者全員の同意が必要です。
ここはとっても大事なので、一覧表にしました。
行為の区分 | 内容・具体例 | 決定の方法 |
---|---|---|
保存 | 現状維持行為 修繕・不法占拠者への明渡請求・妨害排除 |
各共有者が単独でできる |
管理 | 変更を伴わない利用・改良 転用を伴わない整地・家屋の改装 賃貸借契約の解除 |
共有者の持分の価格の過半数の賛成 |
変更・処分 | 山林の伐採・土地の転用 家屋の増改築・売却 |
共有者全員の同意 |
それはどの行為に該当し、つまり単独でできるのか、過半数か、全員の同意が必要なのか判断できるようにしておいてください。
共有物の分割
民法では、原則として各共有者はいつでも自由に共有物の分割を請求できるとしています。
この権利を分割請求権といいます。
でも、自由にいつでも分割請求をすることができると困る共有者もいるでしょう。
なので特約によって分割しない旨を定めることができます。
これを共有物不分割特約といいます。
この共有物不分割特約には期間の制限があり、5年を超えることができません。
この期間の更新することも認められていますが、更新時も5年を超えることはできません。
民法256条
1項 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2項 前項ただし書の契約は、更新することができる。だだし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。
共有物分割方法
共有物の分割は、共有者全員の協議によって分割することができます。
協議による分割方法は3つあるので、表にまとめました。
共有物の分割方法 | |
---|---|
現物分割 | 共有物を分量的に分割する方法 |
代金分割 | 共有物を売却してその売却代金を分割する方法 |
価格賠償 (補償分割) |
共有物の一人が共有全部を取得し、他の者は金銭で支払いを受ける方法 |
原則が現物分割で代金分割・価格賠償は例外だと覚えておきましょう!
共有物の分割は共有者全員の協議によるのが原則ですが、協議が調わなかった場合は裁判所にその分割を請求することができます。
この「協議が調わないとき」とは、共有者の一人が協議そのものに応じない場合も含まれます。
裁判所の分割方法も現物分割が原則ですが、下記の場合は共有物の競売を命じて代金を分割することができます。
- 現物分割が不可能であるとき
- 現物分割すると共有物の価値を著しく減少させるおそれがあるとき
(特段の事情があれば、価格賠償による分割も許される)