≪宅建試験対策≫先取特権とは?
担保物権の本試験出題頻度は毎年1~2問です。
物権は民法の中でも、最も難しいと言われています。
本試験合格を考えると、民法では14問中8問は正解しておきたいところです。
必ず出題されている「抵当権」を確実に正解するため、「抵当権」だけに絞って勉強することもありだと思います。
しかし、ほかの項目も絶対正解しておきたい分野の基礎知識になるため確実に合格したい人は学習しておくべきです。
先取特権とは?
「先取特権」とは特定の種類の債権者に、ほかの債権者に優先して弁済を受けることを認める、法定担保物権です。
先取特権は、その目的となる財産によって下記の3種類に分けられます。
- 一般の先取特権
- 動産の先取特権
- 不動産の先取特権
宅建の本試験で出題される確率は低いですが、一応出題範囲内なので解説します。
勉強に余裕がない人は担保物権の中では、先取特権を勉強するより抵当権を集中して勉強しましょう!
先取特権とは
先取特権とは、特定の種類の債権者に、他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利です。
先取特権は法定担保物権です。
なので先取特権の目的となる財産は、民法で定められているので当事者間の約定で定めることはできません。
たとえば、Aは乙会社に勤めていましたが給料が支払われぬまま倒産しました。乙会社はBに100万円の借金をしていました。
このような場合、Aの給料とBへの債務のどちらにお金は行くのでしょう?
Bは貸金債権を、Aは労働債権を持っています。
労働債権は、先取特権と認められているのでBの賃金債権より優先して財産を取れます。
先取特権は、その目的となる財産によって下記の3種類に分けられます。
- 一般の先取特権
- 動産の先取特権
- 不動産の先取特権
ひとつずつ、説明します。
一般の先取特権
債務者の一般財産から優先的に弁済を受けることができ、4種類がある。
- 共益費用の先取特権:各債権者の共同の利益のために行った債務者の財産保存や清算、配当に関する費用
- 雇用関係の先取特権:労働者保護のための雇い主に対する給料債権(上の図のパターン)
- 葬式費用の先取特権:債権者はお寺・葬儀会社
- 日用品供給の先取特権:債務者とその家族の生活維持のため債権者に優先弁済権を与え、日用品の供給を受けやすくする目的
一般の先取特権相互が競合しているときは、1.→4.の順に優劣が決まります。
動産の先取特権
民法上、「不動産の賃貸借の先取特権」「動産売買の先取特権」など8種類定めている。
8種類の中で、宅建本試験に出題されるとしたら「不動産賃貸借の先取特権」です。
簡単にいえば、賃借人が家賃を滞納している場合、賃貸人は賃借人がその建物に備え付けた動産(テレビやエアコン)を競売にかけ、その代金から滞納家賃の弁済を優先的に受けることができます。
もし、この賃借人が譲渡や転貸をしていた場合は、賃貸人の先取特権は、譲受人や転借人の動産にも及びます。
賃貸人が敷金を受け取っている場合は、その敷金が足りなかった場合についてのみ、債権の先取特権を有しています。
不動産の先取特権
民法が定める不動産の先取特権には、下記の3種類があります。
- 不動産保存の先取特権:不動産の保存、不動産に関する権利の保存・追認・実行のために要した費用について、その不動産から優先弁済。(保存行為の登記が必要)
- 不動産工事の先取特権::工事に要した費用に認められる。工事による不動産の増加額について生じる優先弁済権(工事開始前に予算額を登記が必要)
- 不動産売買の先取特権:売買代金・利息について認められる(売買契約と同時に代金未払いがある旨の登記が必要)
同じ不動産について、先取特権が競合する場合、その優先順位は1.→3.の順に優劣が決まります。