≪宅建試験対策≫契約とは?契約の分類と契約の効力である同時履行の抗弁権を簡単に解説!
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
契約とは?契約の分類と契約の効力である同時履行の抗弁権を簡単に解説!
「契約」とは、数人の当事者が互いに申込と承諾という相対立する意思表示が合致することによって何らかの拘束力をもたせることを約束させる法律行為のことです。
契約は、何に着目するかでいくつかに分類されます。
- 双務契約・片務契約:債務の負担の有無で区別
- 諾成契約・要物契約:契約の成立方法で区別
- 有償契約・無償契約:財産的な損失の有無で区別
「同時履行の抗弁権」とは、それぞれ相手方が履行期にある債務を履行の提供をするまで自己の債務の履行を拒むことを主張することができる権利のことです。
契約とは?
「契約」とは、数人の当事者が互いに申込と承諾という相対立する意思表示が合致することによって何らかの拘束力をもたせることを約束させる法律行為のことです。
契約は、債権の発生のもっとも典型的な原因です。
たとえば、Aが甲建物をBに売るという売買契約が成立したとします。
すると、売主Aについては代金請求権が発生し、買主Bについては甲建物の引渡請求権が発生します。
契約の分類
契約は、何に着目するかでいくつかに分類されます。
双務契約と片務(へんむ)契約
「双務契約」とは、契約の当事者の双方が対価性のある債務を負担する契約のことをいいいます。
さきほどの売買契約は、売主が引渡し債務で買主が代金支払債務を負うので双務契約に属することになります。
双務契約には売買契約のほかにも、「賃貸借契約」「交換契約」「雇用契約」「請負契約」などがあります。
双務契約は契約の当事者が双方に対価的な債務を負担するため、すべて有償契約です。
双務契約は契約の当事者の債務が対価関係にあるため、その履行には同時履行の抗弁権が認められ、また危険負担の問題が生じます。
双務契約に対して、契約の当事者の一方のみが債務を負担する契約を「片務契約」といいます。
片務契約の主な契約として、「贈与契約」や「使用貸借契約」などがあります。
たとえば、AはBに対してプレゼントをしました。
この場合Aは贈与者(あげる側)でBは受贈者(もらう側)になります。
贈与者Aは受贈者Bに対してプレゼントを与えるという債務がありますが、受贈者Bはお金を払う債務がありません。これが贈与契約です。
当事者の一方(例のA)のみに、債務負担がある契約を片務契約といいます。
諾成(だくせい)契約と要物契約
「諾成契約」とは、当事者間の合意のみ(口約束のみ)で成立する契約のことをいいます。
契約のほとんどは、原則として諾成契約で成立します。
たとえば、買主のBが「売りませんか?」と申込み、売主のAが「売ります!」と承諾すればこの契約は成立します。
現実的には、契約の際「契約書」を作成しますがこの契約書はのちに証拠としての役割を果たすだけですので、民法上は当事者の口約束での合意のみで契約は成立します。
「要物契約」とは、契約の成立に当事者の合意に加えて物の引渡しなどを必要とする契約です。
契約の原則は諾成契約なので、例外である要物契約は限られています。
たとえば、「消費貸借契約」「使用貸借」「寄託契約」が要物契約に分類されます。
「手付契約」も手付を相手に交付することで成立するので要物契約です。
有償契約と無償契約
「有償契約」とは、当事者双方が互いに対価的な財産的、経済的損失を負う契約のことをいいます。
民法で規定する典型契約は、「売買契約」「賃貸借契約」「請負契約」などです。
双務契約はすべて有償契約になります。
有償契約には売買の規定が準用されるので、瑕疵担保責任や善管注意義務を負うことになります。
「無償契約」とは、当事者の一方しか財産的、経済的損失を負わない契約のことをいいます。
「贈与契約」や「使用貸借契約」が無償契約にあたります。
双務契約・片務契約と有償契約・無償契約
双務契約・片務契約と有償契約・無償契約は、「債務」を負うか「経済的損失」を負うかの違いがあります。
双務契約・片務契約は「債務」を負い、有償契約・無償契約は「経済的損失」と負います。
双務契約はすべて有償契約です。
利息付消費貸借契約以外は片務契約は、無償契約です。
同時履行の抗弁権
「同時履行の抗弁権」とは、それぞれ相手方が履行期にある債務を履行の提供をするまで自己の債務の履行を拒むことを主張することができる権利のことです。
これは互いに対価的な債務を負う「双務契約」で主張することができます。
たとえば、BはAに対して「甲土地を売ってください!」と申込み、Aが「売ります!」と承諾しました。
原則、当事者同士の合意(口約束)のみで契約は成立するので、このAB間の売買契約は成立しました。(=諾成契約)
このとき売主Aは買主Bに対し「甲土地を引渡す債務」を有し、買主Bは売主Aに対して「甲土地の代金を支払う債務」を有しています」。(=双務契約)
このような場合、売主Aも買主Bもお互いに「同時履行の抗弁権」が認められています。
なので、売主Aは買主Bに対して「甲土地代金払わないなら、甲土地を引き渡さない!」と主張することができます。
対する買主Bも売主Aに対して「甲土地を引き渡さないなら、甲土地代金は払わない!」と主張することができます。
原状回復義務も同時履行の関係にある。
お互いが同時履行の抗弁権を主張できる関係を、「同時履行の関係」と言います。
「原状回復義務」とは、契約が解除された場合に当事者は互いに相手方を契約締結前の状態に戻す義務のことをいいます。
契約解除による原状回復義務も同時履行の関係にあります。
たとえば、AとBが甲建物の売買契約を締結しました。
しかし、この売買契約はAがBに対する詐欺によってなされたのでこの契約は解除になりました。
売買契約が解除になったので、売主Aは「甲建物代金の返還」をし、買主Bは「甲建物を返還」してこの売買契約を締結する前の状態に戻す義務があります。(=原状回復義務)
なので、売主Aは「甲建物を返還しないなら、代金を返還しない!」と主張することができます。
対して買主Bも「代金を返還しないなら、甲建物は返さない」と主張することができます。