宅建試験対策法を公開!宅建合格の鍵

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≪宅建試験対策≫債務不履行による損害賠償の予定

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

債務不履行による損害賠償の予定

 

債務不履行」とは、故意または過失により債務者が債務を約束通り履行しないことです。

 

損害賠償」とは、債務不履行などの不法行為により損害を受けた者に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすることです。

 


債務不履行の際の損害賠償請求は、別段の意思表示がないときは金銭をもって定めます。

 

損害賠償の予定」とは、債務不履行の場合に債務者が支払う損害賠償の額を、あらかじめ当事者が契約で決めておくことを言います。 

 

この損害賠償は裁判上細かく複雑ですが、宅建試験ではそこまで問われません。

 

しかし「損害賠償の予定」も宅建試験で出題される範囲内です。

 

債務不履行による損害賠償の基礎がわかっていれば難しくないですよ!

 

債務不履行による損害賠償がわからないって方はこちら→債務不履行による損害賠償

 

損害賠償の予定とは

 

債務不履行の損害賠償は、「損害発生の事実」と「実際に生じた損害額等」を証明し一定の金額を請求するのが一般的です。

 

しかし、実際に証明するのは難しく請求金額をめぐって争いがおきます。

 

そこで、当事者間であらかじめ債務不履行があった場合に過失の有無や損害の大小に関係なく、損害賠償の予定額を定めておくことができます

 

このことを、民法では「損害賠償の予定」といいます。

 

債務不履行の事実のみを立証すればよい

 

たとえば、Aを売主としBを買主として1000万円の甲建物の売買契約を結びました。
売買契約の際に、「債務不履行があれば、損害賠償金として200万円払う」と定めていたとします。
甲建物を引渡し前に、Aのたばこの不始末で甲建物が焼失しBに引渡しができなくなりました。

 

この場合、売主Aの債務不履行なので、買主Bはあらかじめ定めていた予定額の200万円の損害賠償を請求することができます。

 

債務不履行の事実のみを立証すればよいの図



損害賠償の予定額の定めがある場合、債権者は債務不履行の事実のみを立証すればよく、損害の発生の事実まで立証する必要はありません。

 

なので、上の図の例だと損害賠償の請求権者の買主Bは、甲建物の引渡しができない!という事実だけ立証すれば損害賠償を請求することができます。

 

「売主Aのたばこの不始末」が理由ということまでは、立証しなくてもよいのです。

 

損害賠償の予定額は原則、増減できない

 

民法第420条
1項 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

 

損害賠償の予定額をあらかじめ定めた場合、実際の損害額を証明しても損害額の増減することはできません。

 

上の図の例で言うと、もし甲建物焼失の実際の損害額が500万円で、債権者(買主B)が損害額が500万円であることを立証できても、予定額で定めた200万円しか請求することはできません。

 

もちろん、実際の損害額が予定額より安くてそのことにつき債務者(売主A)が立証することができても、予定額で定めた200万円を払わなければなりません。

 

損害賠償の予定額は原則増減できないの図



損害賠償の予定額を定めても過失相殺できる

 

過失相殺」とは、一方が過失責任を負う場合に相手方の過失を考慮してその責任などを軽減することをいいます。

 

もし、上の図の買主Bにも過失がある場合は、損害賠償の予定額を定めていても過失相殺され、裁判所は予定額を減額することができます。

 

債務不履行の過失相殺は、債務者(上の図の売主A)の主張がなくても裁判所は債権者の過失を考慮して損害賠償の責任及び額を定めます。

 

なので、債務不履行の予定額を定めていても債権者に過失があれば債務者が主張しなくても裁判所はそれを考慮して予定額を減額することができます。

 

損害賠償の予定額を定めても、履行請求や契約解除はできる

 

民法第420条
2項 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。

 

損害賠償の予定をするということは、損害賠償で解決できる場合は、予定額で解決しましょう。ということです。

 

なので、債務不履行があった場合はすべて定めた予定額で解決しましょう!ということではありません。

 

損害賠償の予定を定めた場合でも、履行の請求をすることも、契約解除を請求することもできます。