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≪宅建試験対策≫債務不履行による損害賠償

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

債務不履行による損害賠償

 

債務不履行」とは、故意または過失により債務者が債務を約束通り履行しないことです。

 

損害賠償」とは、債務不履行などの不法行為により損害を受けた者に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすることです。

 


債務不履行の際の損害賠償請求は、別段の意思表示がないときは金銭をもって定めます。

 

この損害賠償は裁判上細かく複雑ですが、宅建試験ではそこまで問われません。

 

宅建試験で出題される範囲で、解説していきます!

 

損害賠償の範囲

 

民法416条
1項 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。

 

たとえば、AがBに500万円の甲建物の売買契約をし引渡し前にAのたばこの不始末で甲建物を焼失したとします。

 

このような場合、Bは甲建物が焼失した損害をAに対して賠償請求することができます。

 

Aのたばこの不始末はAに過失があることはたしかですが、予見はできません

 

この民法の1項では、予見はしていなくても通常生ずる損害があれば賠償できるということです。

 

民法416条
2項 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

 

 

たとえば、AがBに1000万円乙建物を売却する契約を締結しました。
Bはこの乙建物をCに2000万円で転売する予定でしたが、AがBへ乙建物の引渡しが遅れてしまい、Cへの乙建物の転売ができませんでした。

 

過失相殺の図



このような場合、Aが債務不履行をしたらBはCに転売できなくなることを予見することができます。

 

なのでBは、「Aが乙建物の引渡しが遅れたせいでCに転売できなかった損害を賠償して!」とAに主張することができます。

 

損害賠償の範囲は学説上論争があるので、宅建合格のためには細かくは勉強する必要はないです。

 

宅建試験に出る範囲でのポイントは、

  1. 通常損害の場合は予見していなくても損害賠償請求できる
  2. 特別の事情なら予見できるときでないと損害賠償できない

 

宅建の民法では深入りは禁物なので、上記の損害賠償の範囲は上記のポイントだけ覚えればOKです。

 

過失相殺

 

過失相殺」とは、一方が過失責任を負う場合に相手方の過失を考慮してその責任などを軽減することをいいます。

 

こんなことは実際にはないですしょうが、イメージしやすいように具体例で解説します。

 

たとえば、Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約をしました。
甲土地の引渡しはAB間で2月14日と定めましたが、Bは引渡し日は2月14日とわかっていながらAに対しての書類には間違えて「引渡しは3月14日」と書いて送ってしまいました。
Aも引渡し日は2月14日とわかっていましたが、Bからの書類を信じ込み確認せず「引渡し日は3月14日」に変更になったんだ、と思っていました。
しかし2月14日になってもAが甲土地を引き渡さないために、Bは損害賠償請求しました。

 

は、損害賠償を負う債務者
は、損害賠償を請求している債権者です。

 

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Aは2月14日の引渡し日に引渡しをしていないので履行遅滞という債務不履行です。

 

履行遅滞について詳しく知りたい方はこちら→履行遅滞とは?論点は起算日!

 

なのでAは損害賠償請求をされてしまいますが、債権者Bには「違う引渡し日を書面で送っている」という過失があります

 

なので裁判所は、債権者Bの過失を考慮して損害賠償の責任及び額を定めます

 

大事なポイントは、このような債務不履行による損害賠償の過失相殺債務者が債権者Aの過失を主張しなくても裁判所は債権者の過失を考慮して損害賠償の責任や額を決めます。

 

つまり、債務者Aは「Bには過失がある」と主張しなくても裁判所は過失相殺するということです。

 

民法418条
債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

 

金銭債務の特則

 

民法419条
1項
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

 


金銭債権には、特別な定めがあります。

 

ひとつに、現実的にお金は世の中からなくなることはあり得ないので、金銭債務には履行不能という概念がないと考えられています。

 

なので、金銭債務を負うと遅延利息がずっと発生してしまいます。

 

なので、民法では金銭債務の不履行の場合その損害賠償の額は法定利率によるとされました。

 

民法上の法定利率は年5分(年5%)です。
この数字はよく問われるので覚えておいてください

 

しかし、当事者間で損害賠償の利率が定められていて法定利率より高ければ、約定利率をとります。(約定利率>法定利率)

 

当事者間で損害賠償の利率を定めていなくても、法定利率の年5分(年5%)はとられるということです。

 

民法419条
2項
前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。

 

そして、金銭債務は債権者が損害を証明する必要はありません

 

債権者が具体的に○×円のの損害が発生したということを証明しなくても、当然に法定利率又は約定利率で計算した額を損害賠償として請求することができるのです。

 

3項
第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

 

不可抗力」とは、人の力ではどうすることもできないことで、必要と認められる注意や予防方法を講じても損害を防止できないものをいいます。

 

金銭債務の債務者は履行遅滞になった理由が不可抗力であっても、損害賠償を免れることができません。

 

どういうことかというと、AがBにお金を借りていて返済日は3月1日と定めたとします。
Bが3月1日に返済しようとしたが、自然災害により返済できませんでした。

 

このような場合、Bは自然災害(不可抗力)を理由に損害賠償を免れることはできないということです。