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≪宅建試験対策≫契約解除権の行使と契約解除の効果

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

契約解除権の行使と契約解除の効果

 

契約解除権」とは、有効に成立した契約を当事者の一方の意思表示によって契約関係を遡及的に解消させる権利のことを言います。

 

契約解除権について詳しい解説はこちらです→債務不履行による契約解除

 

当事者のどちらかの契約で定めたとおりの義務を果たせない場合=(債務不履行」や「当事者が一旦契約したが双方が白紙に戻したい」という場合の解決策として、法律上認められたのが「契約解除権」です。

 

契約解除権は、相手方に対する一方的な意思表示によってなされるため、相手方の承諾は不要です。

 

いったん、解除の意思表示がなされたら撤回することはできません

 

契約の解除がなされると、解除された契約によって生じた法律上の効果はさかのぼって消滅します。

 

契約解除権の行使


契約解除権は、相手方に対する一方的な意思表示によってなされます。(単独行為)

 

なので、特別な方式や相手方の承諾がなくても契約解除は成立します。

 

しかし契約解除の相手方の地位が不安定になるのを防ぐため、いったん解除の意思表示がなされたら撤回することはできません

 

履行遅滞の場合は履行が遅れているだけなので、債務者が履行することは可能です。

 

なので契約解除権を行使するには、相当の期間を定めて催告する必要があります

 

その催告をして解除権を行使できる状態であっても、解除権を行使する前に債務者が履行をしたときは、解除権を行使することはできません。

 

当事者の一方が複数いる場合

 

当事者の一方が複数いる、ということは共有しているということです。

 

解除権には不可分性があり、契約の当事者が複数いる場合、解除しようとする側全員が、相手側全員に対して、解除しなければなりません

 

解除権者が複数いる場合

 

たとえば、売主Aが所有する甲建物をBとCが共有して購入する契約を結びました。
しかし売主Aが土地の引渡しをしなかったので、買主のBとCは契約解除の意思表示をしました。

 

解除権者が複数いる場合の解除権行使の図



この場合、解除権者のBとCは共同してAに対して契約解除の意思表示をする必要があります。

 

もし、解除権者のだれかひとりが解除権を放棄した場合には全員の解除権も放棄します。

 

解除を受ける側が複数いる場合

 

たとえば、売主Aが所有する乙建物をBとCが共有して購入する契約を結びました。
しかしBとCが乙建物代金を支払わなかったので、売主Aは契約解除の意思表示をしました。

 

解除を受ける側が複数いる場合の契約解除の図



この場合、解除権者AはBとC双方に解除する意思表示をする必要があります。

 

Bのみ、Cのみにしか意思表示をしなかった場合は契約解除は有効に成立しません

 

債権譲渡されたときの解除権

 

たとえば、売主Aと買主Bは土地の売買契約を結びました。
その後、売主AはBに対する代金請求権をCに譲渡しました。
買主Bが代金支払債務の不履行をした場合、契約解除権を行使できるのは売主Aでしょうか、それとも譲受人Cでしょうか?

 

債権譲渡されたときの解除権の図



この場合、契約解除権を行使できるのは売主です。

 

土地の売買契約はAB間の契約なので、土地売買契約の当事者である売主Aが解除権者です。

 

しかし注意していただきたいのは、代金請求権は譲受人Cに移っているので代金請求権者はCです。

 

契約解除の効果

 

契約の解除がなされると、解除された契約によって生じた法律上の効果はさかのぼって消滅します。(=遡及効

 

契約が解除されれば、当事者に「原状回復義務」が生じます。

 

なので、売主Aと買主B間の土地の売買契約が締結後契約解除が行われた場合、売主Aは代金を受け取っていたらBに返還する必要があり、買主Bが土地の引渡しを受けていればAに返還しなければなりません。

 

この「契約解除による原状回復義務」は同時履行の関係にあります

 

解除による第三者との関係

 

たとえば、売主Aが買主Bに対して甲建物を売買しました。
その後、買主Bはこの建物をCに転売し、Cは移転登記を備えました。
しかし、Bは甲建物代金をAに支払わなかったためにAはBとの甲建物売買契約を解除しました。

 

契約解除権は一方の意思表示で成立するのでAの契約解除の意思表示は有効なのでA・B双方に原状回復義務が生じます。

 

この場合のCはどうなるのでしょうか?

 

解除による第三者との関係の図



この場合、Aは移転登記を備えたCに対抗することができないので、原状回復をすることができません。

 

対抗要件(移転登記)を備えた第三者Cのことを権利の第三者といいます。

 

この権利の第三者Cは、善意・悪意を問いません

 

契約解除による原状回復の利息

 

たとえば、売主Aと買主Bの間で建物の売買契約を結んだとします。
「建物の引渡し」、「甲建物代金支払」が終わったあとに、AB双方がこの売買契約を白紙にしたいと思い、契約を解除しました。

 

この場合、売主Aが原状回復義務で返還すべきものは金銭(建物代金)です。

 

返還すべきものが金銭だった場合、その受領の時からの利息をつけてから返還しなければなりません。

 

また、買主Bがこの建物を賃借し賃料等をの利益を受けていた場合、解除までの間得た利益にも原状回復義務が生じます。

 

ということは、目的物の引渡しを受けていた買主は、解除までの間に目的物を使用収益して得た利益は返還しなければならないということです。

 

解除権を行使しても損害があれば、損害賠償請求をすることができる

 

債務不履行により契約解除権を行使する場合、契約解除しても損害が生じていれば別途、損害賠償請求することができます

 

たとえば、土地の売買契約をし土地を引渡したが買主が代金支払債務を履行しないため、売主が買主の債務不履行を理由に土地売買契約を解除したとします。

 

この場合土地の売主は、契約締結後解除されるまでの土地の値下がりによる損害を理由にして損害賠償請求することも可能です。