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≪宅建試験対策≫履行不能とは?例でわかりやすく解説

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

履行不能とは?例でわかりやすく解説

 

債務不履行」とは、故意または過失により債務者が債務を約束通り履行しないことです。

 

履行不能」とは、債務成立時は履行可能であったが、のちに債務者の故意または過失により履行が不可能になった場合をいいます。

 

「履行不能」は、債務不履行の一種です。

 

宅建では履行不能と危険負担を区別することが大事です

 

履行不能 とは

 

履行不能」とは、債務成立時は履行可能であったが、のちに債務者の故意または過失により履行が不可能になった場合をいいます。

 

たとえば、売主Aと買主Bが甲建物の売買契約を結びました。
Bは甲建物代金を支払った後、引き渡す前に売主Aのタバコの不始末により甲建物が焼失してしまい買主Bに甲建物を引き渡すことができませんでした。

 

は、代金債権者であり、甲建物引渡債務を負っています
は、甲建物を引渡してもらう権利をもち、代金支払債務を負ってます。

 

履行不能の図



Aは甲建物の引渡しの債務を負っていましたが、の過失により甲建物をBに引き渡すことができなくなりました。

 

これは売主Aの「履行不能」であり、債務不履行の一種です。

 

履行不能が発生する要因

 

履行不能の責任が問われる要件としては下記の2つです。

 

  1. 履行期に履行が不能となった
  2. 履行できないことに債務者の責めに帰すべき事由に基づく故意または過失がある

 

上の例で言うと

 

  1. 引渡し前に甲建物が焼失している
  2. 甲建物が引渡し出来ない理由が、売主Aのタバコの不始末という売主Aの過失がある

 

なので、売主Aが買主Bに対して負う甲建物引き渡し債務は「履行不能」といえます。

 

履行不能の効果

 

履行不能となった際の債権者は、下記を債務者に求めることができます。

 

  1. 契約解除
  2. 損害賠償請求

 

「履行遅滞」では、上記に加えて「履行の請求」も請求することができましたが、
「履行不能」の場合は、もはや履行することは不可能なので「履行の請求」を求めることはできません。

 

履行遅滞について詳しい解説はこちら→履行遅滞とは?

 

履行不能の効果の図



履行不能の際の、「契約解除」は催告なしに直ちにすることができます。

 

「契約解除のための催告」とは、「相当な期間」を定めて、債務者に対して債務の履行を請求することをいいます。

 

履行することが不可能な状態なので、催告しても意味がありません。

 

なので、履行不能の際の契約解除は直ちにすることができます

 

履行不能と危険負担の違い

 

「履行不能」と「危険負担」は、双務契約において一方の債務の履行が不可能になる点では同じです。

 

違う点としては、「債務者の責任に帰する過失があるか、ないか」です。

 

危険負担」では、履行が不可能になる理由が天災など、債務者に過失がない場合です。

 

履行不能」では、履行が不可能になる理由がタバコの不始末など、債務者に過失がある場合です。

 

「危険負担」は債務不履行ではないですが、「履行不能」は債務不履行になります。

 

履行不能」の場合は、売主の過失によって履行が不可能になっているので、債務不履行責任を負うのは、当然ですが売主です。

 

危険負担」は、目的物が不動産などの特定物の場合は原則は債権者危険主義をとります。

なので下の図では、買主が負担を負います。

 

このように「危険負担」と「履行不能」では責任を負う人が違ってくるので、違いをはっきり理解しておきましょう!

 

履行不能と危険負担の違いの図



ちなみに、契約が成立する前に目的物が焼失している場合を「原始的不能」といいます。

 

危険負担について詳しい解説はこちらです→契約の目的物の原始的不能と危険負担