≪宅建試験対策≫不法行為の過失相殺
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
不法行為の過失相殺
「不法行為」とは、違法(故意・過失)に他人の権利、利益または身体を侵害した者に損害賠償責任を負わせることによって、被害者が被った損害の公正な補填を図ることを目的とする制度のことをいいます。
「過失相殺」とは、一方が過失責任を負う場合に、相手方の過失を考慮してその責任などを軽減することをいいます。
不法行為につき被害者による故意または過失があったときは、裁判所は加害者からの主張がなくても、これを考慮して、損害賠償を定めることができます。
不法行為とは?
「不法行為」とは、違法(故意・過失)に他人の権利、利益または身体を侵害した者に損害賠償責任を負わせることによって、被害者が被った損害の公正な補填を図ることを目的とする制度のことをいい、「違法行為」ということもできます。
不法行為も、「契約」と同様に債権の発生原因の一つです。
損害賠償請求権を認める行為は、「不法行為」のほかにも、「債務不履行」や「担保責任」があります。
不法行為には、過失責任主義に基づく「一般的不法行為」と無過失責任主義に基づく「特殊的不法行為」に分かれます。
過失相殺とは?
「過失相殺」とは、一方が過失責任を負う場合に、相手方の過失を考慮してその責任などを軽減することをいいます。
この過失相殺は、交通事故のケースがわかりやすいです。
たとえば、Aが自動車運転中に、歩行者Bをはねてしまいました。
しかし、この歩行者Bは信号無視をしていました。
この場合、歩行者Bは運転手Aに対して損害賠償を請求することができます。
しかし、歩行者Bにも過失(信号無視)があるので損害賠償の責任及びその金額が減額(相殺)します。
不法行為の過失相殺
第722条
2項 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
不法行為につき被害者による故意または過失があったときは、裁判所は加害者からの主張がなくても、これを考慮して、損害賠償を定めることができます。
たとえば、先ほどの交通事故のケースだと運転手A(加害者)が損害賠償請求を受ける際に、運転手A(加害者)が「歩行者B(被害者)の信号無視(過失)があった!」と主張しなくても裁判所は歩行者B(被害者)の過失を考慮して損害賠償を定めることができます。
ここで注意なのが、裁判所は被害者の過失を考慮して損害賠償額を定めることが”できる”というところです。
”定めなければならない”ではないので必ずしも過失相殺できるとは限りません。
宅建試験では、下記のようなひっかけ問題がよく出題されます。
不法行為につき被害者による故意または過失があったときは、裁判所は加害者からの主張がなくても、これを考慮して、損害賠償額を定めなければならない。
債務不履行の過失相殺との違い
債務不履行があった場合の債権者に過失があったときも、過失相殺されます。
関連:債務不履行による損害賠償
しかし、債務不履行の場合に債権者に過失があったときは、裁判所は債務者からの主張がなくても債権者の過失を考慮し、損害賠償額を定めなければなりません。
”定めなければならない”なので、必ず過失相殺されます。
不法行為の過失相殺は任意ですが、債務不履行の過失相殺は義務なのです。
損害賠償権が過失相殺される場合 | |
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不法行為 | 裁判所は過失を考慮して損害賠償額を定めることができる (過失相殺は任意) |
債務不履行 | 裁判所は過失を考慮して損害賠償額を定めなければならない (過失相殺は義務) |
このように似ているけど答えが違う論点は、宅建試験で問われやすい論点です。
宅建合格するには細かいですが、しっかり押さえておく必要があります。