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≪宅建試験対策≫不法行為の消滅時効と履行遅滞

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

 

 

不法行為の消滅時効と履行遅滞

 

不法行為」とは、違法(故意・過失)に他人の権利、利益または身体を侵害した者に損害賠償責任を負わせることによって、被害者が被った損害の公正な補填を図ることを目的とする制度のことをいいます。

 

 

消滅時効」とは、権利を行使しないという事実状態が一定期間継続することにより、その権利を消滅させる制度のことをいいます。

 

履行遅滞」とは、履行が可能なのに履行期を過ぎても債務者が履行しないことをいいます。

 

不法行為に基づく損害賠償請求権


履行遅滞になる時期:不法行為成立時(損害発生時)


消滅時効:*損害および加害者を知った時から3年間


     *不法行為のときから20年間

 

不法行為とは?

 

不法行為」とは、違法(故意・過失)に他人の権利、利益または身体を侵害した者に損害賠償責任を負わせることによって被害者が被った損害の公正な補填を図ることを目的とする制度のことをいい、「違法行為」ということもできます。

 

不法行為も、「契約」と同様に債権の発生原因の一つです。

 

損害賠償請求権を認める行為は、「不法行為」のほかにも、「債務不履行」や「担保責任」があります。

 

損害賠償請求権を認める行為

 

不法行為には、過失責任主義に基づく「一般的不法行為」と無過失責任主義に基づく「特殊的不法行為」に分かれます。

 

 

不法行為の損害賠償請求権の消滅時効

 

第724条


不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

 

不法行為の被害者が持つ損害賠償請求権は、損害および加害者を知ったときを知った時から3年間で時効により消滅します

 

たとえば、5月11日のある日の甲建物が壊されていることを発見しました。甲建物を壊した犯人は当初はわかりませんでしたが、は8月30日に犯人はだと知りました。

 

この場合、被害者A加害者Bに対する有する損害賠償請求権は損害および加害者を知った時から3年後に時効消滅します。

 

ここでの注意は、不法行為による損害賠償請求権が時効消滅する起算点は、損害および加害者を知ったときです。

 

不法行為の消滅時効3年間

 

なのでこの場合の起算点は、損害と加害者をどちらも知った8月30日です。

 

5月11日の時点では、損害しか知らないので時効消滅は進行しません。

 

不法行為による損害賠償請求権の時効消滅は、損害と加害者をどっちも知っていなければスタートしない。ということを押えてください。

 

不法行為を知らないときの消滅時効

 

被害者はいつ損害および加害者を知るかわからないので、「損害及び加害者を知った時から3年」の期間制限だけだと、いつまでたっても法律関係が確定しません。

 

なので不法行為の損害や加害者がわからない場合、不法行為の時から20年を経過すれば、損害賠償請求権は消滅します。

 

先ほどの例で解説すると、

たとえば、甲建物を壊されたことは知ったけど被害者Aは犯人がわかりませんでした。

 

この場合、被害者Aは甲建物を壊された時(不法行為の時)から20年経過すれば損害賠償請求権が時効消滅してしまいます

 

不法行為を知らない場合の時効消滅

 

加害者がわからなければ、被害者Aは損害賠償請求権を請求する相手がいませんので、不法行為が行われたときから20年以内に加害者を見つけ出す必要があるということです。

 

この場合の不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の起算点は、不法行為の時なので、注意しましょう!

 

不法行為の損害賠償債務の履行遅滞

 

不法行為の加害者が負う損害賠償債務は、不法行為成立(損害発生)の時から直ちに遅滞となります。(判例)

 

「〇月×日に損害賠償するから!」と言って、不法行為をする人はいないので、損害賠償債務は期間の定めのない債務になります。

 

たとえば、は見知らぬ通り魔から暴行を受けました。


この場合、加害者B被害者Aに負う損害賠償債務は、暴行したときから履行遅滞になります。

 

不法行為の損害賠償債務の履行遅滞




期間の定めのない債務の原則は、債権者が債務者に請求したときから履行遅滞となります。


履行遅滞についてはこちら→履行遅滞とは?

 

しかし、この原則を不法行為に適応してしまえば被害者Aは見知らぬ加害者Bを見つけ出さないと損害賠償請求することができません。


これでは被害者の保護にならないので、被害者保護の観点から不法行為の場合から不法行為の時から履行遅滞になると定めました。


なので、加害者は損害発生から完済に至るまでの遅延損害金を支払わなければなりません。(判例)

 

期限の定めのない債務の”不法行為の履行遅滞”と”債務不履行の履行遅滞”

 

期間の定めのない債務の原則は、債権者が債務者に請求したときから履行遅滞となります。

 

たとえば、建物の売買契約をして買主が引き渡し日を決めずに建物代金を支払った場合、買主が「建物を引渡して!」と売主に請求したときから、売主の建物引き渡し債務は履行遅滞となります。

 

しかし、不法行為の場合は例外で被害者保護の観点より、不法行為のときから履行遅滞となります。

 

不法行為と債務不履行の履行違いの違い

 

この違いはよく出題されるので、必ず押さえておきましょう。