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≪宅建試験対策≫売買契約の売主の義務・買主の義務

「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます

範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。

難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。

しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。

 

売買契約の売主の義務・買主の義務

 

売買契約などの双務契約が成立すると、その効力として互いにそれぞれ権利と義務が発生します。

 

売主が負う義務は下記の2つです。

 

  • 財産権移転義務:売買の目的物の所有権を売主に完全に移転する義務
  • 担保責任:売買において目的物が契約内容と不適合があったり、目的物に欠陥があったりする場合に売主が負う責任

 

買主が負う義務は「代金支払い義務」です。

 

買主が負う代金支払い義務には、下記のふたつの場合は代金の支払いを拒絶することができます。

 

  • 他人が売買の目的に権利を主張する場合
  • 目的物に他人が担保物権を有する場合

 

宅建試験で直接出題される論点ではないので、「抵当権」や「 同時履行の抗弁権」、「売主の担保責任」「瑕疵担保責任」などを勉強すればおのずと理解していく論点です。

 

しかし宅建試験で出題される契約のメインである売買契約の基礎中の基礎の知識なのでサクッと勉強しておきましょう。

 

売主の義務:財産権移転義務

 

売買契約を結んだ売主は契約の効力により、買主に所有権などの財産権の移転義務を負います。

 

財産権の移転義務とは、「目的物の引渡し」や「対抗要件の具備」などを含みます。

 

なので、目的物が不動産の場合は売主は所有権移転登記に協力する義務を負います

 

売買の目的物が債権の場合には、債権譲渡通知などの具備に協力することも売主が負う義務のひとつです。

 

債権譲渡について詳しくはこちらです→債権譲渡の重要論点のまとめ

 

 

他人物売買

 

民法 第560条
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

 

売買契約の売主が負う義務である財産権移転義務は、契約成立の時に売主に目的物の所有権がなかったとしても負わなければならない義務です。

 

たとえば、AはC所有の甲土地をBに売却する契約を結びました。
その後AはCから甲土地を買い受け甲土地の所有権を取得し、Bに甲土地の所有権を移転させました。

 

他人物売買の図



このように、売主が目的物の所有者からその所有権を取得したうえで、買主に権利を移転する義務を負うことを「他人物売買」といいます。

 

売主の義務:担保責任

 

売買契約の売主は売買の目的物を契約内容通りに引き渡す必要があります。

 

なので売買契約の目的物を全部または一部を引き渡すことができなかったり、引渡した目的物に欠陥(瑕疵)があるなどの、契約不適合があった場合の責任は売主が負います。

 

これを売主の担保責任瑕疵担保責任といいます。

 

売主の担保責任は、売主に過失がなくても負わなければなりません

 

売主に過失がないのにもかかわらず売主が責任を負うというと、売主に不利なように感じますが、民法は公平な立場からこの規定を設けています。

 

なぜならこの規定がなければ買主は、売主に故意・過失がなければ債務不履行責任を追及することができません。

 

そうすると、売主に過失がなく契約内容との不一致があった場合や目的物に瑕疵があった場合、買主は対抗手段がなく不利になってしまいます。

 

なので、売主が負う担保責任は無過失責任なのです。

 

買主の義務:代金支払い義務

 

売買契約の契約を結んだ買主は契約効力によって、売主に対して代金支払い義務を負います。

 

この代金支払時期等は特約があればそれに従います。

 

しかし、買主が負う代金支払い義務は売主が負う財産権移転義務と同時履行の関係にあります

 

なので、同時履行の抗弁権が双方に生じているのでお互いが自己の義務を一方的に強制されることはありません。

 

しかし、下記の場合は買主は代金支払い債務を拒絶することができます。

 

  • 他人が売買の目的に権利を主張する場合
  • 目的物に他人が担保物権を有する場合

 

他人が売買の目的に権利を主張する場合

 

民法 第576条
売買の目的について権利を主張する者があるために買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。

 

買主は、売買の目的物について権利を主張する者がいて、売買の目的物を失う可能性がある場合は、代金支払い義務を拒絶することができます。

 

売買の目的物について権利を主張する者とは、売主が二重譲渡をした場合などです。

 

このような場合、買主は目的物を取得できない可能性もありますし、取得できても失う可能性もあります。

 

なので、民法では買主に代金支払い拒絶権を認めています。

 

しかし、売主が売主が、買主との合意に基づいて抵当権を設定したとか、保証人を用意したとかいう場合など担保を準備している場合は代金支払い義務を拒絶することができません。

 

目的物に他人が担保物権を有する場合

 

民法 第577条
買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。

 

売買契約の目的物が抵当権がついている不動産の場合、買主は抵当権消滅請求をして抵当権が消滅するまで、代金支払い義務を拒絶することができます

 

この場合、買主は抵当権のついた不動産を買い受けた者(第三取得者)となります。

 

第三取得者は抵当権消滅請求をして抵当権者に支払った後に、売主に代金を支払うと二重に支払いが発生してしまうので、買主(第三取得者)に代金支払い拒絶権を認めています。

 

しかし、代金支払を拒絶され、抵当権消滅請求も放置されてしまっては売主にとって不利なので、売主は買主に遅滞なく抵当権消滅請求をして!と請求することができます

 

抵当権消滅請求について詳しい解説はこちら→抵当権消滅請求とは?