≪宅建試験対策≫占有とは?
「物権」は毎年2問前後出題されています。
物権は民法の中でも、最も難しいと言われています。
本試験合格を考えると、民法では14問中8問は正解しておきたいところです。
必ず出題されている「抵当権」を確実に正解するため、「抵当権」だけに絞って勉強することもありだと思います。
しかし、ほかの項目も絶対正解しておきたい分野の基礎知識になるため確実に合格したい人は学習しておくべきです。
占有とは?
「占有権」とは、自己のためにする意思で物を所持することによって取得する物権です。
「占有訴権」とは、占有を害されたり、奪われたりした場合に、返還請求や賠償金の請求ができる権利をいいます。
占有訴権は下記の3種類の分けれれます。
- 占有保持の訴え
- 占有保全の訴え
- 占有回収の訴え
占有の本試験出題頻度は、10年に1度出るか出ないか程度です。
民法で穴をなくしたい人は、試験範囲内なので勉強しておきましょう!
占有
「占有権」とは、自己のためにする意思で物を所持することによって取得する物権です。
物の所持という事実状態をとりあえず保護するための権利であるから、占有を正当づける実質的な権利である所有権や地上権等とは明確に区別されています。
つまり、一般に物を所有しているという場合の多くは、所有権や地上権等と占有権の両方を有しているととらえることになります。
占有訴権(せんゆうそけん)
占有で本試験で出題されるならここです!
「占有訴権」とは、占有を害されたり、奪われたりした場合に、返還請求や賠償金の請求ができる権利をいいます。
占有訴権を行使できる者は、自主占有でも他主占有でもよく、直接占有でも間接占有でもかまいません。
また、善意・悪意も問いません。
占有訴権は下記の3種類の分けれれます。
- 占有保持の訴え
- 占有保全の訴え
- 占有回収の訴え
ひとつずつ詳しく見てみましょう。
占有保持の訴え
民法198条
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
占有保持の場合、占有の妨害が実際の起こったという場合です。
たとえば上の図のように、Bの土地・建物からAの占有建物に物が落下したという場合などです。
このときAは、Bにこの落下物の除去と原状回復、損害があれば損害賠償請求ができます。
占有保全の訴え
民法199条
占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防または損害賠償の担保の請求することができる。
占有保全の訴えは、まだ占有が侵害されているわけではないけど、占有が妨害される恐れがある場合です。
たとえば上の図のように、Bの土地・建物からAの占有建物に物が落下するおそれがある場合などです。
このようなときAは、Bに物が落下しないように予防請求するか、または、落下して損害が起こったときのための担保を請求することができます。
占有保全の訴えの場合、予防の防止または損害賠償の担保請求のどちらかしか請求できないことに注意しましょう!
占有回収の訴え
民法第200条
1項 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
占有回収の訴えは、その占有している物を侵奪された場合です。
たとえば、Aが占有していたパソコンがBに奪われた場合などです。
この場合、AはBに奪われてから1年以内だったらこのパソコンを返還するよう請求することができ、故意、過失があれば損害賠償請求もすることができます。
民法200条
2項 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することはできない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りではない。
しかし、Bがこのパソコンを、このパソコンが奪われたものであると知らない(善意)C(特定承継人)に売ってしまったら、AはC(特定承継人)にたいして占有回収の訴えはすることはできません。
C(特定承継人)が奪ったこと知っていたら(悪意)、Aは占有回収の訴えをすることができます。
Aがパソコンの占有者でなく所有者であれば、Cに所有権に基づく返還請求をすることができます。
占有訴権のまとめ
一応、この3つの占有訴権を表にまとめました!
占有保持の訴え | 占有保全の訴え | 占有回収の訴え | |
---|---|---|---|
要件 | 占有者がその占有を妨害された場合 (部分的な侵害) |
占有者がその占有を妨害されるおそれがある場合 | 占有者がその占有を侵奪された場合 |
効果 | 妨害の排除と原状の回復 損害賠償請求 |
妨害の予防 または 損害賠償の担保の請求 |
その物の返還 損害賠償請求 |
請求権の行使 | 妨害のある間 または 妨害がなくなってから1年間 |
妨害のおそれがある間 | 侵奪のときから1年以内 返還請求相手は侵奪者と包括承継人(=相続人) 特定継承人にはその者が悪意のときのみ請求可能 |