≪宅建試験対策≫無権代理の効果
「代理制度」の宅建本試験出題される頻度は、毎年です。
宅建の権利関係法令(民法)の山場のひとつになります。
正直に代理制度は難しいです。
単純暗記だけでは、なかなか正解することは出来ません。
代理制度を理解するには、状況をイメージすることが大切です。
本試験で出題される可能性は高いので、難しいですが宅建試験合格のためには避けては通れない項目です。
無権代理の効果
代理行為をなした者が代理権を有しなかった場合を「無権代理」といいます。
代理権がない状態での契約なので、無権代理での行為は原則本人に効果は及びません。
無権代理人の無権代理行為は、「追認」することができます。
「追認」とは、効果のない取り消すことができる法律行為について、後から有効な法律行為として認める意思表示です。
追認は、本人から相手方または無権代理人に対する一方的な意思表示によってその効果が生じます。
追認は、契約時にさかのぼってその効力が生じます。(遡及効)
無権代理の効果は、代理制度の1番のポイントになります。
無権代理の効果
「無権代理」とは、代理権が与えられていないにも関わらず代理人としての法律行為をすることです。
たとえば、Aは甲土地を所有していました。
しかしBが勝手に甲土地をCに売る契約を結びました。
登場人物の立場を整理すると、以下のようになります。
A:本人(売主)
B:無権代理人
C:相手方(買主)
Bは、甲土地を売る権利がないので、この契約は有効に成立しません。
なので、無権代理行為の効果は本人に対して効力は及びません。
無権代理行為の追認
無権代理行為は無効なので、その効果が本人に生じることはありません。
しかし、これは絶対的なものではありません。
無権代理行為の効果が有効になったほうが本人にとって有利な場合もあります。
そうゆう場合、本人は追認してその無権代理行為を有効にすることができます。
どういうことかというと、Aは、甲建物を1000万円で売りたいと思っていました。
そのことを聞きつけたBはAから代理権を与えられいないのにAの代理人として、Cに甲建物を5000万円で売る売買契約を結びました。
この場合、Bは無権代理人なのでAとCの売買契約は無効です。
しかしAは思ったより高く甲建物が売れることになるのでBの無権代理行為が有効に成立することを望みました。
なのでこのような場合Aは、追認権を使って有効な契約にすることができます。
本人Aが追認する相手は、無権代理人Bでも相手方Cでも効果が発生します。
第113条
1項 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2項 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない
しかし無権代理人Bに対して追認をした場合、相手方Cは甲建物売買契約が追認された事実を知らない可能性があります。
なので、追認した事実を相手方Cが知るまでは、甲建物売買契約の効果を主張することは出来ません。
Cは、自分が契約しているのでAが追認することを妨げることはできませんし、Aが追認することにBの同意は必要ありません。
しかし、Aの追認はCが取消権を行使する前に行使しなければなりません。
「無権代理の取消権」についてはこちらで詳しく解説しています。→無権代理の相手方の保護
追認の効力
本人の追認には、遡及効があります。
なので、追認されたら契約時に遡ってその効力が生じます。
つまり、本人が追認したら当初から有権代理行為だったものとして扱われます。
しかしこの契約に第三者がいた場合、第三者の権利を害さない範囲でしか追認の効果は生じません。
第116条
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
追認の拒絶
本人追認権は「権利」であって「義務」ではありません。
なので、無権代理行為を有効にしたくなければ追認をしない意思表示をすることができます。
この追認を拒絶できる権利を「追認拒絶権」といいます。
本人が追認拒絶権を行使すると、無権代理行為は確定に無効になります。
追認拒絶権を表示する相手は、「相手方」または「無権代理人」です。
追認拒絶権も追認と同様に、相手方がその事実を知らなければ追認拒絶の効果を主張することは出来ません。
無権代理行為の「本人」が持つ権利は2つです。
*「無権代理人が無断でした行為は認めない!」という追認拒絶権
*「無権代理人がした行為を認める!」という追認権