≪宅建試験対策≫民法上の贈与契約
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
民法上の贈与契約
「贈与」とは、当事者の一方が財産を無償で与える意思表示をし、相手方がそれを承諾することによって成立する契約です。
贈与契約は宅建試験において4~5年に1回くらい肢問で出題される程度です。
なので、余裕がない人などは捨てても良いと思います。
しかし、贈与も宅建試験の範囲内ですので解説していきます!
贈与契約とは
民法 第549条
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
「贈与」とは、当事者の一方が財産を無償で与える意思表示をし、相手方がそれを承諾することによって成立する契約です。
贈与契約は、民法に定められた13種類の典型的な契約のひとつで無償・片務・不要式の契約です。
贈与契約で物を与える方を「贈与者」、もらう方を「受贈者」といいます。
贈与の撤回
贈与契約は不要式の契約のため、成立には書類は不要です。
そして書面によらない贈与はいつでも撤回することができます。
逆をいえば、書面でなされた贈与は撤回できないということです。
ただし、履行の終わった部分については撤回することはできません。
この「履行が終わった」とは不動産の場合は、「登記または引渡し」をしたら履行が終わったと解釈され、贈与者は贈与を撤回することができません。
登記または引渡しなので、登記するか引渡しをするかどちらかでひとつをすることで履行しているとみなされるということです。
贈与の担保責任
担保責任とは、売買契約の際に契約の不適合や契約の目的物の欠陥(瑕疵)は与えた人(売主)が無過失でも負わなければならない責任です。
贈与は無償で行われるので、贈与者は贈与の目的物に瑕疵または不存在についての責任は負いません。
無償でもらっておきながら目的物にケチをつけることはできない。のは当然です。
しかし、贈与者が目的物の瑕疵や不存在を知りながら受贈者に告げなかった場合は別です。
受贈者は瑕疵のない目的物だと思い贈与契約を結んだにもかかわらず、贈与者は瑕疵を隠していたような場合は贈与者はその担保責任を負わなければなりません。
負担付贈与の場合については、贈与者はその負担の限度において担保責任を負わなければなりません。
負担付贈与
負担付贈与とは、受贈者に一定の負担を負わせる贈与のことをいいます。
たとえば、土地を贈与する代わりに週1回は車庫として使用する。などです。
負担付贈与も贈与の規定に従いますが、当事者は実質的には負担の限度で対価関係に立つので双務契約の規定に従い、有償契約のように担保責任が発生します。
民法 第551条
1項 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
2項 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
負担付贈与は双務契約の規定に従うため、契約解除や同時履行の抗弁権等の規定が準用されます。
民法 第553条
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
死亡による贈与
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によってその効力を失います。
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与のことを、「死因贈与」といいます。
死因贈与は、その性質に反しない限り「遺贈」に関する規定を準用するため、書面による死因贈与の撤回は認められています。
「遺贈」とは、遺言によって財産を無償譲渡することをいいます。
遺贈は遺言者の一方的な意思表示により効力が生じ、死因贈与は契約なので双方の意思表示が合致しなければ成立しません。