≪宅建試験対策≫請負契約の注文者の義務と解除権
「債権」は、宅建の本試験では、毎年4問出題されます。
範囲も広く、論点もたくさんあるのでいくら対策しても見たことない問題が出ることもあります。
難易度も幅が広いので、勉強してもなかなか点数が伸びにくい分野です。
しかし、丸々捨ててしまったら他の教科での挽回が厳しくなるので、易しい問題は得点できるように勉強しておきましょう。
請負契約の注文者の義務と解除権
「請負」とは、当事者の一方(注文者)が仕事の完成に対して報酬を支払うことを約束し、他方(請負人)がこれを承諾することによって成立する双務・有償・諾成の契約です。
請負契約の請負人の義務は、「仕事の完成」と仕事の目的物の引き渡しを要するときは「引き渡し」です。
それに対して注文者の義務は、「報酬支払い」です。
この報酬支払義務は、特約がない限り後払いが原則なので、同時履行の関係にあるのは、「目的物の引き渡し」と「報酬支払い」です。
注文者は、請負人が仕事を完成しない間であれば、すでに仕事に着手していたとしても、いつでもその損害を賠償して請負契約を解除することができます。
請負契約とは
「請負」とは、当事者の一方(注文者)が仕事の完成に対して報酬を支払うことを約束し、他方(請負人)がこれを承諾することによって成立する双務・有償・諾成の契約です。
仕事の完成を注文する側を「注文者」といい、仕事の完成を請け負う側を「請負人」といいます。
注文者の報酬支払いと請負人が仕事を完成することが対価関係に立つという点で、委任とは異なっています。
たとえば、Bは土地を所有しておりその上に建物を建てたいと思っていたので、Aに対して甲建物建築したら報酬を払うと契約しました。
登場人物の整理をします。
A:請負人(甲建物建築を請け負った人)
B:注文者(甲建物建築を注文した人)
AB間の契約:請負契約
このように請負人Aが甲建物の建築する義務を負い、一方注文者Bは報酬を支払う義務を負っています。
つまり、請負は請負人が注文者にある仕事を完成することを約束し、これに対して注文者がその完成した仕事の対価(報酬)を支払うことを約束することによって成立します。
請負契約は諾成契約なので、口約束で成立します。(書類等不要)
注文者の義務
注文者は請負人に対して負う義務は、「報酬支払い義務」です。
ここで注意なのは、注文者が負う「報酬支払い義務」と対価対価関係にあるのは、請負人が負う「仕事の完成義務」です。
なので報酬についての特約がない限り、報酬は後払いが原則です。
だから仕事の目的物が引き渡しを要する場合は、同時履行の関係にあるのは「報酬支払義務」と「目的物引渡し義務」で、「仕事の完成義務」ではありません。
他に報酬支払いと同時履行の関係にあるのは請負人が負う「損害賠償義務」です。
請負人がした仕事に瑕疵があった場合は、注文者は損害賠償請求をすることができます。
※請負契約の瑕疵担保責任に基づく注文者の権利についてはこちら
しかし損害賠償請求について、請負人がその履行を提供しない場合は注文者は当該請負契約にかかる報酬の支払いを拒むことができます。
注文者の解除権
請負契約とは、「注文者のために」仕事の完成も目的として結ばれている契約です。
ですので、請負契約成立後に注文者側の事情で仕事の完成が不要となった場合は、仕事を最後まで完成させることは無意味になります。
なので、注文者は請負人が仕事を完成しない間はいつでも請負契約を解除することができます。
いつでも解除することができるので、請負人がすでに仕事に着手していても解除することができます。
たとえば、BはAに対して乙建物建築を注文しました。
乙建物が9割ほど完成してきましたが、乙建物が不要になった注文者Bは契約解除をしました。
注文者Bが乙建物が不要になれば、請負人Aは残りの1割の仕事をしても無意味なので、この場合の注文者Bは請負契約を解除することができます。
しかし、9割まで仕事をしてきた請負人Aに対して損害を賠償する必要はあります。
ですが、注文者は仕事が完成しない間はすでに仕事に着手していたとしても損害さえ賠償すれば一方的に請負契約を解除することができます。
ここで注意なのは、この解除権は「注文者」に認められたもので「請負人」には認められません。
考えてみれば、仕事を完成させることは無意味になったのでそんな無意味なことをしないでいいように認めている解除権なので、注文者にしか認められないのは納得です。
宅建試験では、この「注文者」を「請負人」にかえてひっかけ問題がよく出題されます。
問題文をよく読み、仕事完成を不要とする解除権があるのは「注文者だけ」と覚えておきましょう!
もちろん注文者が債務不履行等あれば、請負人にも注文者の債務不履行に基づく解除はできます。
まとめると、
- 債務不履行等の解除ができる:請負人と注文者
- 仕事の完成を不要とする解除ができる:注文者のみ
ここは簡単な論点ですが意外とよく出題され、ひっかかりやすいので注意しましょう。