≪宅建試験対策≫担保物権とは?担保物権の付従性・随伴性・不可分性・物上代位性
担保物権の本試験出題頻度は毎年1~2問です。
物権は民法の中でも、最も難しいと言われています。
本試験合格を考えると、民法では14問中8問は正解しておきたいところです。
必ず出題されている「抵当権」を確実に正解するため、「抵当権」だけに絞って勉強することもありだと思います。
しかし、ほかの項目も絶対正解しておきたい分野の基礎知識になるため確実に合格したい人は学習しておくべきです。
担保物権とは?担保物権の付従性・随伴性・不可分性・物上代位性
「債権者平等の原則」とは、各債権者はその債権額に比例して平等に弁済を受ける。ということです。
債権を優先的に弁済を受けるために「担保物権」の制度があります。
「担保物権」とは、ある債権の弁済を確保するためにあらかじめ特定の物を債権の担保として提供し弁済を保証する権利のことです。
担保物権は当事者の合意によって成立する「約定担保物権」と法律上当然に成立する「法定担保物権」の2種類があります。
その担保物権には、一般的に共通の性質が4つあります。
- 付随性:債権が成立しなければ担保物権も成立せず、再建が消滅したら担保物権も消滅する
- 随伴性:被担保債権が他人に移転すれば、担保物権も原則それに従って移転する。
- 不可分性:被担保債権について全部の弁済を受けるまで、担保目的物の全部の上になおその効力が及ぶ。
- 物上代位性:その目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができる。
この4つは担保物権を理解する上で、重要な性質ですので詳しく解説していきます!
債権者平等の原則
初めに、弁済は「債権者平等の原則」で行わるのが基本です。
「債権者平等の原則」とは、各債権者はその債権額に比例して平等に弁済を受ける。ということです。
たとえば、AがCに対して1000万円お金を貸していて、BもCに2000万円貸していていました。しかしCの財産は1500万円しかありません。
このような場合、AとBの債権はどのように確保されるのでしょう?
こういう場合は、各債権者はその債権額に応じて平等に弁済を受けることになります。
つまりAはBとの関係でCの総財産1500万円のうち、3分の1の500万円
Bは、3分の2の1000万円しか回収することができません。
これを「債権者平等の原則」といいます。
しかし、これではお金を貸した分だけかえってこないことになるので、誰もお金を貸さなくなります。
なので、Cが返済しない場合に備えてあらかじめ下記のような手段を使います。
- Cの財産のうち、1500万円相当の価値がある建物を担保にとる
- 資力のあるDを保証人にたてる
①の場合、AはCの建物の売得金の中から優先的に弁済を受けることができます。
これを、物的担保といい、その制度を担保物権の制度です。
②の場合、BはDに返済を求めることができます。これを人的担保といいます。
担保物権とは?
「担保物権」とは、ある債権の弁済を確保するためにあらかじめ特定の物を債権の担保として提供し弁済を保証する権利のことです。
物的担保の制度を、担保物権といいます。
弁済が担保される債権のことを「被担保債権」といいます。
担保物権の種類
民法は、留置権、先取特権、質権 抵当権(根抵当権)の4つの担保物権を定めています。
留置権、先取特権は一定の要件が備わったら場合に法律上当然に認められる権利です。これを法定担保物権といいます。
これに対し、質権 抵当権(根抵当権)は当事者間の設定契約により生じる権利です。これを約定担保物権といいます。
図のほうがわかりやすいので、図にまとめました!
担保物権に共通する性質
担保物権には、共通する4つの性質があります。
- 付従性(ふじゅうせい)
- 随伴性(ずいはんせい)
- 不可分性(ふかぶんせい)
- 物上代位性(ぶつじょうだいいせい)
ここは、絶対論点になりますのでしっかり勉強してくださいね!
では、ひとつずつ説明します。
付従性(ふじゅうせい)
担保物権は特定の債権を担保するため存在するので、担保される債権(被担保債権)が消滅すれば、担保債権も消滅します。
これを付従性といいます。
たとえば、AはBに1000万円お金を貸していて、その担保としてB所有の建物に抵当権を設定しました。
Bが全額返済すれば、Aの債権もなくなります。
債権がなくなれば、抵当権も消滅します。
随伴性(ずいはんせい)
担保物権は特定の債権を担保するものであるから、被担保債権が他人に移転すれば、担保物権も原則としてそれに伴って移転します。
これを随伴性といいます。
たとえば、AがBに1000万円お金を貸しています。その担保としてB所有の建物に抵当権を設定しました。
AはこのBに対する債権をCに譲渡しました。
被担保債権がCに移転すれば、担保物権もそれに伴って移転します。
新債権者Cが、抵当権者になります。
不可分性(ふかぶんせい)
担保物権は、被担保債権のすべての弁済を受けるまでは、担保目的物すべてについてその権利を行使することができます。
これが不可分性です。
たとえば、AはBに1000円お金を貸しています。その担保としてB所有の建物に抵当権を設定しました。
Bは、そのうち500万円を弁済しました。
このような場合、担保物権の持主は、担保権の一部の消滅を主張することはできません。
まだ弁済されていない額を、被担保債権として目的物の全部に対して担保権の効力が認められます。
物上代位性
担保物権は、目的物が売却・賃貸・滅失または、損傷によって債務者が受ける金銭その他の物に対しても、行使することができます。
これを物上代位性といいます。
たとえば、AはBに1000万円お金を貸しています。その担保としてB所有の建物に抵当権を設定しました。
しかしその抵当権の目的の建物が火災で、滅失しました。
この場合、抵当権者であるAはBの保険会社に対する火災保険金支払い請求に対して抵当権を主張できます。
しかし、ここが大事なポイントです。
この物上代位権を主張するには、その引渡し又は払渡し前に差し押さえなければなりません。
図の場合だと、Bに保険金を支払った後は主張できない。ということです。
なぜなら、債務者に支払われた後だと、債務者が有する一般財産と見分けがつかなくなり、事実上、債務者の一般財産から優先弁済を受けるのと同様になり、他の債権者がいた場合、それを害してしまうからです。
でも、Bが抵当権の目的建物をCに賃貸しそのCがDに転借した場合には、その転借料には物上代位は及びません。
各担保物権の性質のまとめ
各担保物権の性質について一覧表でまとめています。
勉強時間があまりない人は、この一覧表さえ覚えておけば担保物権をマスターした!っていうことができますよ。
内容 | 留置権 | 先取特権 | 質権 | 抵当権 | 根抵当権 (確定前) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
付従性 | 債権がなければ成立せず、債権が消滅すれば消滅する | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
随伴性 | 債権が移転すれば移転する | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
不可分性 | 債権全般の弁済を受けるまで目的物全部の効力が及ぶ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
物上代位性 | 保険金など、価格変形物を差し押さえることより効力を及ぼす(注) | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
優先弁済効 | 目的物を換価し、他の債権者に優先して弁済を受ける | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
留置的効力 | 物を留置して間接的に弁済を促す | ○ | × | ○ | × | ○ |
(注)差押えは、引渡し前または払渡し前にしなければならない |
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